• ニューキノロン系薬剤と脳波異常、てんかん発作

    てんかん患者は、抗てんかん薬などを活用すれば、発作を起こす頻度を最小限にしながら日常生活や仕事を送ることが可能です。ただし、てんかんを含む痙攣性疾患は一部の薬と非常に相性が悪く、「服用禁忌」もしくは「慎重投与」という指示が出されているものがあります。その多くは自律神経に影響する成分を有している薬で、例えば抗うつ薬のルジオミール、パーキンソン病治療薬、一部の抗アレルギー薬などの「抗コリン作用」をもつ薬や、排尿障害や胃腸機能低下症に用いるベサコリンなどの「コリン作動薬」、モルヒネなどの麻薬性製剤が挙げられます。これらはてんかん患者が服用すると、発作の原因となる脳波異常を誘発してしまう薬なのです。
    そして、もう一つ重要な薬に「ニューキノロン系薬剤」があります。ニューキノロン系薬剤は抗コリン作用やコリン作動性の作用をもつ薬でこそありませんが、実は抑制的にはたらく脳神経の作用を抑えてしまう成分が含まれています。すると、脳全体の興奮が収まりにくくなって異常な脳波が出やすくなり、結果てんかんや痙攣発作を起こしやすくなってしまうのです。このためニューキノロン系薬剤は「てんかんおよび慎重投与」という区分となっており、服用中に痙攣を起こしたらすぐにこれらの薬の服用をやめ、適切な処置を行える病院まで救急車で搬送し、発作や脳波異常を早急に抑える治療を開始します。適切な治療が行われれば発作は数日で治まり、重篤な後遺症もほとんどありません。
    ニューキノロン系薬剤による痙攣の多くは服用1~4日目までに発生するとされています。発作前30分~12時間以内に初期症状が起こることが多く、その多くは頭痛、ふるえ、顔面のぴくつき、めまい、手足のしびれなどです。一時的に発作が治まっても、不穏状態や発作再発がみられる例があるので、いつもと様子が違うと気づいたらすぐに受診させ、服用薬のことを伝えるようにしましょう。